メグとまもりは客を一周して挨拶を終えた。
メグの父がヒルマたち海軍を紹介しだしたので、客たちの標的はそちらに移っている。
隙を見てダンスの申込みをしようとする男たちを素気無く断って、二人で奥まった場所にしつらえられた大きなソファに腰掛けた。
さり気なく寄ってきた給仕が差し出す飲物を受け取り、一口飲む。
メグは背もたれに体を預けたが、まもりはヒルマたちのほうを見ながら背筋を伸ばしていた。
やはりヒルマが気になるのだろうか、とまもりの横顔を見ながらメグは思った。
昼間は否定していたが、ただの皇女と海軍提督とは思えない雰囲気がある。
他人の色恋に興味はないが、これから誘拐を警戒するために行動を制限すると宣言されている身としては、それくらいしか面白がることがなさそうだ。
メグは一気にワインを飲み干して、サイドテーブルにグラスを置いた。
その瞬間、部屋の明かりが落ちた。
この部屋だけではない。見回すと屋敷のどこからも光が見えなくなっている。
女性客たちが悲鳴を上げ始めた。
メグたちはこの程度で騒ぎ立てる性分ではないが、まもりがメグを守るために椅子の上で腰をずらして体を寄せてくる。
「どうしたのかしら?」
「だれかがドジを踏んで屋敷中を真っ暗にしちまったか、そうじゃなければ…」
「うわぁああああっ」
メグの言葉は窓際の男性客が上げた悲鳴にかき消された。
誰もがそちらに視線を集中させる。
大きなガラスの向こうから、首の長い、体長15メートルはあろうかという怪物が目を光らせてこちらを見ていた。
横に伸びる体に比べると小さな頭だが、その中で目の占める範囲はやたらと大きい。
メグの脳裏に幼い頃絵本で見たシーサーペントの怪物の姿が浮かんだ。
ガタンガタンと人が倒れる音にガラスの割れる音、悲鳴が重なる。
怪物の姿に動けずにいたメグとまもりは、騒ぎが大きくなったのを見て椅子から立ち上がろうとした。
突然、背後から椅子に戻らせるよう肩を押さえつけられ、顔を布で覆われる。
鼻にツンとくる臭いが目の奥を痺れさせた。
マズイ、と思ったのは一瞬で、メグの意識はそこで途切れた。
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雪が降りました-!
タイヤを替えていてよかった。
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