gourdon.blog.shinobi.jp/Entry/316/
更新しました。
・・・昨日。
でも、その後こちらのブログにアクセスできなくて(泣)
最近、ninjaさん調子悪いなぁ。
鈴音→セナ、モン太→鈴音っぽい感じです。
1年生はかわいい!
拍手をありがとうございました(^^)
まだしばらくクリスマスです。
更新しました。
私は陸にも夢を見ている・・・。モテモテですよね!陸は!!
とりあえず雲水すら出ません。あ、いや、いることはいるけど。
陸→雲にまで行くかどうかは悩み中。
書いてみたいけどなー、雨の日に泥水が顔にかかった雲水にさっとハンカチを差し出す陸。
どうしてもあのハンカチプリンスなイメージが~。
拍手ありがとうございますv
Ah. Christmas (水町)を更新しました。
http://gourdon.blog.shinobi.jp/Entry/314/
ちょっと遅いですが、クリスマス話を書こうかなと。
大学の同級生、上級生、下級生という名前も顔もないオリキャラがちらほらいる予定ですが、気にはならない程度だと思います。
しかし、女の子が出るとドリームっぽくなりますねぇ。
阿雲要素がどれくらい出せるかは・・・ギモンです(笑)
拍手をありがとうございます!!読んでいただけて、うれしいですv
皆が一様に息を吐いて緊張を緩めている。
ほとんど女性と接点のない生活をしているので、美しい姫君たちを前に実際のところはガチガチになって理性も半分以上飛んでいたのだろう。
それにしてもやりすぎだ。
「集まれ」
雲水の一言で、船員たちは飛び上がった。
舳先を正面に列を作って並ぶ。
「ハッカイ、西蔵にミルクをもたせてやってくれ。これを入れてな」
丸々とした体型のハッカイが列から進み出て、雲水から小さな瓶を受け取る。
「何?」
「眠り薬だ。夜中にうろつかれても面倒だ」
ハッカイは立ち去ろうときびすを返したが、すぐに首だけ雲水を振り返った。
「あ、あの…俺たちの罰って?」
並んでいる者たちから「余計なこと言うなっ」という声が飛ぶが、雲水が睨みつけると黙った。
「船の上では彼女たちの安全を守ること。目的を達することが第一だ」
「な、なーんだ。それなら大丈夫だよ」
ハッカイが安堵の表情を浮かべる。
「船を下りたら?」
列から黛が聞いてきた。
両横に並んでいた芽力とサゴジョーから脇腹に肘を入れられ、黛は前のめりに体を折る。
「船の荷をサンゾーが用意してる。今回は人夫を使わない。お前たちが運べ」
「ええーっ」
「否はない。ご婦人を前にのぼせないようにしろ。これ以上のことがもしあれば・・・」
雲水は語尾を濁した。
言われなくても中身はわかる。
全員が慌てて左掌に右拳を合わせ、深々と頭を下げた。
船員をそれぞれの持ち場に戻らせ、雲水は自室に向かった。
小さな船に見えるが、中には部屋をいくつも持っている。
それでも全員に個室はなく、二人部屋を使っているのは雲水と阿含、山伏と一休だけだ。
扉を開けると、阿含がベッドに寝転びながらニヤニヤとこちらを見ていた。
「なんだ」
「派手な演出してたじゃねぇの」
すぐに姫君たちの前で全員が一斉に礼を取ったことだとわかる。
雲水は阿含を睨みつけた。
「あんなこけおどしは必要ないと言っていたんだがな。どこかの阿呆が怯えさせるから、規律のある船だと示さなくてはならなくなったじゃないか」
ベッドに腰かけ、阿含の髪を結び目で引っ張る。
始め一休やゴクウが海賊らしく威圧感を与えるためにやったらどうかと言ってきたが、雲水としては無駄だと思っていた。
暗闇の屋敷から意識を奪って海の上に連れ去られたというだけで、十分シーサーペントに恐怖を感じるはずだ。
それで大人しくしてくれれば十分だったのに。
雲水に頭を引かれ、阿含の顔が持ち上がった。
雲水がゆっくり顔を近づけるのに合わせ阿含は腰で伸び上がる。
唇を合わせただけで雲水はすぐに阿含の髪を離した。横に異動して距離をとる。
「お前もけっこー楽しんでんじゃねぇ?今度の仕事」
阿含は逃がさないとばかりに雲水の手首を摑まえる。
振りほどくことはせず、雲水は阿含に説教を続けた。
「ただの仕事だ。しかもお前がやると言い出したんだろう。無用な労力を使わせるな」
「ああ゛ー、あんな威勢のいい女どもだとはなぁ」
船の上で雲水に啖呵を切った姿を思い出したのか、阿含がクックッと笑う。
「怯えて泣いているくらいが楽だったかもしれん。とにかく、お前は近づくなよ。自刃でもされたら話にならん」
「わーってるよ。面倒くせぇ女はいらねぇって。俺には雲子ちゃんがいるしぃ」
掴んでいる雲水の手に顔を寄せて、阿含は人差し指を口に含んで舐め始めた。
雲水は解放されている方の手で阿含の後頭部を叩く。
阿含は離れない。上目遣いで雲水を覗き込んできただけだ。
目は完全に笑っている。
雲水はため息をついてから、ゆっくりと阿含の隣に横たわった。
「しかたがないな、お前は」
******
拍手をありがとうございます!
「阿雲のイチャイチャは?」と言われたので、慌てて挿入。
えっ、ソコまで書け?!じ、時間切れです・・・(笑)
雲水の指を舐める阿含ってエロくていいですね!!
不動は扉を開けてメグたちを中に促す。
二人は中に入って案内役を振り返った。
西蔵は廊下を戻っていき、一人残った不動は部屋の中には入ってこようとせず扉の外から
「何か必要なものがあれば言ってください」
と愛想笑いも見せずに言った。
「こんな薄い布団で寝ろってのかい?しかも一つしかないじゃないか」
「寝具は代わりを用意します。寝台も持ってきます」
不動は一礼して扉を閉めた。
しばらくすると不動は頭に金の輪をはめた男と一緒に木の棒や板を運んできた。
不動が金の輪をつけた男を
「ゴクウさんです」
と紹介したが、ゴクウはメグたちとは視線も合わせず、
「入らせてもらうぜ」
と言ってうつむき加減に部屋に入り、木の棒などを床に広げた。
ゴクウと不動によって木の棒と板はあっという間に簡易なベッドに組みあがる。
自分が乗って仕上がりを試す不動を置いて、ゴクウはいったん部屋を出たがすぐに布団を抱えて戻ってきた。
メグが最初に寝ていたベッドと新しく出来上がったベッドにさきほどよりは幾分厚めで汚れの少ない寝具が置かれる。
ゴクウは
「じゃ」
と言うとそそくさと部屋を出て行った。
ゴクウと入れ替わりに西蔵がやってきて、開いたままの扉の外から一応ノックをしてみせる。
「入っていいですか?」
「どうぞ」
まもりの返事に小さく頷いて、西蔵が部屋に入ってきた。
手にトレイを持っている。
湯気の立つカップが二つ並んでいる。
「落着いて眠られるように、って雲水さんからミルクを」
雲水、という名前に思わずメグは西蔵を睨みつける。
西蔵はビクッと肩を震わせ、助けを求めるように隣に来ていた不動の顔を見た。
「あの男、船長かい?」
西蔵と不動は顔を見合わせた。
不動に脇をつつかれて、西蔵がメグに答える。
「いいえ。船長は山伏さんです」
「山伏?」
「はい、えっと体が大きい、顔に傷のある」
阿含、という男の横にそういう人物が立っていたのを思い出す。
しかし雲水にもへこへこと頭を下げていた風情からはとても船のトップには見えなかった。
まもりの顔を見ると、首をかしげ、西蔵に口を開いた。
「じゃあ、雲水という人が約束したことはこの船ではあまり意味がないのね」
まもりの言うことは最もだ。
船のことはよくわからないメグでも、その中が軍隊と同じように序列で形成されていることは想像できる。
トップの決断ではないものを下の者が守る理由はない。
しかし、西蔵も不動もきっぱりと首を横に振った。
「雲水さんがそう決められたのなら、この船で覆ることはありません」
「船長は山伏さんですが、指揮官は雲水さんです。それがこの船の決まりです」
二人は真っ直ぐメグたちを見て言い切った。
西蔵たちの雰囲気はシーサーペントと名乗り悪逆非道の略奪行為をする海賊というよりは、普通の船乗りに近い。
彼らがそこまで言うのであればある程度は信用できるだろうか。
「阿含ってのは何者だい」
しかしメグは自分を脅かしたあの男が規律を単純に守るようには思えなかった。
彼こそがこの船を操り人々を恐怖に陥れている首謀者だと思ったのだから。
「阿含さんは自分のやりたいことをやるので…でも、興味がないと言われれば、それは本当です。たぶんもうお二人に話しかけることもないと思います」
不動は自信なさ気に首を傾けた。
そういう言われ方では簡単に安心できない。見た目どおり船の規律に従う男ではないということだ。
それにどう見ても阿含が本気で襲ってきたときに、不動たちが盾になってメグ達を庇うとは思えない。いや、なったとしても勝てそうにない。
先ほどはメグたちを翻弄して戸惑う姿をただ楽しんだようだが、軽い手さばきや言葉にすら押しつぶされそうな圧迫感を感じた。
街のチンピラとは迫力だけで雲泥の差がある。
メグの左腕にまもりがそっと手を添えた。
怯えていると心配させたかもしれない。
少し笑って見せるとまもりも微笑み返した。
「それじゃあ、僕たちは外にいますから何かあれば声をかけてください」
「この部屋は中から鍵がかかりますので。それからお着替えはその箱に」
不動と西蔵はすでに部屋の外に立っていた。
西蔵は部屋の隅に置かれた木箱を指さした。木箱の古ぼけた風合いからも中身は期待できそうにない。
西蔵達は甲板で見せた左掌に右拳を合わせる独特の礼をとって扉を閉める。
「用が終わった、って言ったわけじゃないのに、勝手なヤツラだね」
「小間使いじゃないからしょうがないかもね」
二人で顔を見合わせて笑う。
木箱を覗いてみると、簡素な夜着から平服、下着まで女物が入っていた。当然ながらメグ達が普段身につけているような絹に刺繍の施されたようなものではない。
幸いなのは、腰が極端に絞られていない、布を直線で裂いて形に縫い合わせただけのような服なので、サイズを気にしなくていいことくらいだろうか。
汚れて破れたドレスを脱ぎ、夜着に袖を通す。
潮風を浴びて頭からベタついているのが気になるが、湯浴みが用意されてもする気にはならないだろうから我慢する。
着替え終わって、それぞれに用意されたベッドに腰掛けた。狭い部屋の中でサイドテーブル分だけ離されている隙間で向かい合う。
西蔵がサイドテーブルに置いていったミルクのカップを手に取った。
「変な薬でも入ってるんじゃないだろうね」
メグは揺れる表面を睨みつける。
「可能性はあるけど。こんな船の上で餓死するのもつまらないよ」
まもりはそう言ってミルクを一口飲んだ。
「うん、ちょうどいい温度」
「あんた、いい度胸だよ」
メグもカップを傾けた。
砂糖で甘みの付けられた柔らかな暖かさが喉を潤す。
カップを放して、唇の下を指先で拭う。
「海賊相手にこっちか小さくなる理由はないね」
「そうそう。こっちは大事なお客様。せいぜいおもてなししてもらいましょ」
まもりは見た目より相当肝が据わっている。
カップの中身を空にして、サイドテーブルに戻した。
「横になりましょう。体力は蓄えるの」
まもりに頷いて、それぞれベッドにもぐりこむ。
そうは言っても気が昂ぶって眠れないだろうと思っていたが、すぐにメグの意識はなくなった。
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拍手をありがとうございます~。
耳を劈く大声にメグの体が揺らいだ。
目を開けると、前に誰か立っている。
剃りあげた髪の短い頭。他の男達と同じ真っ黒い服。
「何をやっているんだ、お前たち!阿含!!」
「あ゛ー?暇つぶし」
坊主頭に怒鳴られ、髪を結んだ男は耳を搔きながらそっぽを向いた。
「暇つぶし、じゃないだろうっ。これだけ揃って、どうして阿含を止めない、一休っ」
「す、すんません。阿含さんが海賊らしくやろうって…」
「あ゛?人のせいにすんのか?一休」
雲水に詰め寄られながら舳先まで戻った阿含は、ホクロの一休を小突いてから最初に腰掛けていた箱に座りなおした。
「いいいいや、だって、阿含さんが邪魔するなって言ったじゃないっすか」
男たちの言い争いは耳から通り抜け、メグは膝から崩れ落ちた。
注意が逸れた隙に、まもりが横からメグに抱きついてくる。
「す、すまん。ワシらも調子に乗りすぎた」
顔に傷の大きな男が雲水に向かって体を縮める。
「ご婦人を怯えさせるとは…皆、同罪だ。覚悟しておけ」
「えええ~雲水~~~ぃ」
甲板を取り巻いていた男たちが情けない声を上げる。
雲水と呼ばれた坊主がメグたちを振り向いた。
まもりとお互いに手を強く握る。
黒目の小さい切れ長の目が冷たい視線をで見下ろしてきた。
「こいつらの非礼は詫びる。だが、お前たちもウロウロするな。立場をわきまえろ」
メグはその言い様に頭に血が上った。まもりの手を放して勢いよく立ち上がる。
「何言ってんだいっ、あんたらが勝手に連れてきたんだろう!?あたしらが命令される言われはないよっ」
啖呵を切ったメグに驚いたのか、雲水の細い目が少しだけ大きくなった。
まもりも続いて立ち上がる。
「無理矢理招いたのだから大人しくしろと言う方が筋違いよ。私たちは海に飛び込んで帰らせてもらってもいいんだから。それで貴方たちの目的が達せられる?」
雲水はまもりとメグを交互に見比べて言葉を失っていた。
「クックックッ、面白れぇじゃねぇか。深窓の姫君がこんなに威勢がいいとはな」
まだナイフをもてあそびながら阿含が笑った。
メグの体が反射的に強張る。
すぐにまもりがメグの背に腕を回す。
「阿含。ナイフをしまえ。無用におびえさせるな。本当に飛び込みかねんぞ」
雲水がメグ達に背を向けて、阿含の元に歩み寄る。
阿含は薄笑いを浮かべながらナイフを雲水に渡した。
「あ゛ーヒメって柄じゃねぇなぁ、こいつら。興が冷めた。オレ寝るわ」
阿含は勢いを付けて箱から飛び上がるように立ち上がり、メグ達には見向きもせず船尾に消えていった。
阿含が横を通り過ぎるときに精一杯睨みつけて見送るが、空気のように無視をされる。
メグは雲水を向き直る。
雲水は阿含が腰掛けていた箱の前に立ち、腕を胸の前で組んで、メグたちに告げた。
「お前達に危害は加えさせない。船室と甲板では自由を許す」
「あんたのような下郎にお前よばわりされたくないね」
メグは雲水の言葉を遮る。
「雲水さんに向かって、なんて口をっ」
静かに雲水の横に立っていた一休が、突然目をつり上げた。
メグに向かって手を鳴らしながら歩み寄ろうとしたのを、雲水が片手で制す。
「でも、雲水さん」
「俺たちはお前達の家臣じゃない。お前達は客人ではあるが、俺たちの支配下にあることを忘れるな」
偉そうな物言いが気に障る。メグは表情を変えない雲水の冷たい顔を睨んだ。
「本当にこいつらお姫さんなんすか?ひょっとして囮じゃ」
一休が訝しそうにメグとまもりの顔をジロジロ見比べる。
「それはないだろう。あのサファイヤの指輪は「火蜥蜴の雷」、ルビーの首飾りは「敗者の涙」。サラマンド王国とフレーダー公国の王家に伝わるものだ。身代わりごときが身に付ける事はできない」
メグは咄嗟に左手につけている指輪を右手で覆った。
まもりも首元に手を当てている。
正式なパーティーだからと用意された王家の秘宝が、誘拐の目印にされていたとは。しかし、ニセ者扱いされて船から放り出されるのを防いでくれたことにもなる。恨むべきか喜ぶべきか。
雲水はメグたちの動揺など目に入らない様子で話を続けた。
「世話役として不動と西蔵をつける。用があればいいつけろ。危険からは彼らが守る」
雲水が視線を甲板の左端に移すと、並ぶ男達から小柄な二人が一歩前に出る。
雲水が言い終わるのを待って、まもりが厳しい口調で問いかけた。
「貴方一人の約束を船員全員が守るという保証はあるの?あの阿含という男が?」
雲水は静かに肯定した。
「裏切りはない。それがこの船だ」
雲水の言葉を受けて甲板を取り囲む男達が一斉に左腕を胸の前で折り曲げ、掌を広げて真っ直ぐに伸ばした。右手は固く握って広げた左掌の中央に押し当てる。そのまま全員が目を閉じ、頭を下げた。
肯定の合図、ということだろうか。
チラリとまもりの表情を見ると、眉根を寄せて周囲の様子を窺っている。
儀式的な礼を見せられた程度で、簡単に安心はできない。
「お前達が信じる必要はないが。しばらく航海が続く間、ビクビクして暮らすのも面白くないだろう」
「どこに連れて行くんだよ」
「4、5日はかかる。行き先を知る必要はない」
雲水はメグの問いに答えると要件はこれまでとばかりに二人に背を向けた。
同時に不動と西蔵がメグ達の前に走り出てくる。
「どうぞ、船室に戻ってください」
二人が手を広げてメグ達を抜け出してきた船室に誘導する。
まもりに手を引かれ、メグは男達に背を向けた。
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拍手、URL請求ありがとうございます!
雪ですよ~降ってます。
寒い、寒い。
猫たちが私の膝の取り合いをしてくれて、モテモテ気分です~。
更新しました。
「やさしい阿含」に触発されて(^^)
雲水は阿含が優しいことをよくわかっているし、根底では誰よりも阿含を理解しているのに、日常生活では何故かかみ合っていない、というところにたどり着いちゃったんです~。
「ようこそ、シーサーペントへ」
船の舳先に置かれた木箱に、髪を一つに結んだ男が大股を開いて腰掛けている。
目元を覆っていた色眼鏡をずらし、メグ達に笑いかけた。
その横には顔中に傷を負った大男と、髪を逆立てた額にホクロの小柄な男が表情のない顔でこちらを見ている。
髪を結んだ男が立ち上がった。
メグたちの方へ歩み寄ってくる。
メグとまもりは一歩、また一歩と後に下がるが、すぐにマストに背が当たってしまった。
「逃げるのはもう終わりぃ?」
「近寄るんじゃないよっ」
手を伸ばしてきた男にメグは右手に持っていたナイフを向ける。
「おっと、ヤバイもんもってんじゃん。それで遊びたいワケ?」
メグのナイフがオモチャだとでも思っているのか、男は無造作に距離を詰めてくる。
メグは必死でナイフを前に突き出したが、あっさりとその手は男にとらわれてしまった。
「おおっと、これもいい細工してあるじゃねぇの。もらっとくわ」
「うっ」
男がメグの手を捻り、ナイフは簡単に手を離れる。
「メグっ」
まもりがメグをかばうように男との間に立った。
「ククッ、せっかくのオモチャだからぁ、相手してもらうぜ。オイッ」
男の合図で、まもりはマストの横に立っていた男に両腕をつかまれ船の端まで引き摺られる。
抗議の声を上げて身をよじるが、男はびくともしない。
一人残されたメグの前に髪を結んだ男がナイフをもてあそびながら立ちふさがる。
「ダンスでも踊ってもらおうか。どうだぁ?」
男の声に周囲から野太い歓声が上がる。
「だれがっ」
メグは顔を逸らした。
ドレスの腰の辺りを両手で強く握り締める。
「いいぜ、俺が躍らせてやるよ」
風を切る音で、メグは咄嗟に左に避けた。
マストに突き刺さったナイフを振り返る。
避け切れなかったため、ドレスの腰の辺りが破けていた。
「おお、なかなかいい動きするじゃねぇか」
メグとは距離をとるように後ろに下がりながら、男はまた手を閃かせる。
メグは反対に飛びのいた。
新しいナイフが肩を掠めていったと思った途端、動けないうちに音だけがメグの横を通り過ぎる。
肩から袖先まで、何箇所も切り刻まれて、ドレスからメグの腕が見え始めていた。
男たちが口に指を当てて下品な笛で囃し立てる。
「もっと逃げねぇと、すぐに丸裸だぜ」
男が投げたナイフは動けないメグの胸の横を掠めて行った。
布だけを切り裂いていく男のナイフさばきにメグは意識を失いそうになる。
新しいナイフを男が構えた。
ぎゅっと目を閉じて胸の前で腕を交差させる。
「喝っ」
「メグ、メグ」
名前を呼びながら頬を軽く叩かれる。
ゆっくりと目を開けると、まもりが心配そうな顔で覗き込んでいた。
「どうした…」
「よかった、目が覚めて」
まもりがメグの眼前にあった体をどけたので、視界が広がる。
低い天井が目に入る。立ち上がって手を伸ばせば簡単に届きそうなほど近い。
体を起こして周りを見回すと、黒ずんだ木の板で囲われた狭い部屋だった。
メグが体を横たえていたのはかろうじてベッドのようだが、敷かれている布団は板の感触がわかりそうなほど薄く、手に当たるシーツは織り目の荒い綿のようだ。
メグは起き上がってベッドの中央に腰掛けているまもりの隣に座った。
「ここは…なにが…」
話をしようと口を開くと、鼻の奥に薬品の臭いが残っていて声が詰まる。
「私もさっき気がついたの。たぶん、船の中じゃないかしら」
確かに、体が不安定に揺らめく感覚は乗り物の中のようだ。時折波の音が聞える気がする。
「あの時、薬をかがされて連れ出されたってワケか」
暗闇で背後から回された腕が思い出され、メグは顔をしかめた。
「ごめんなさい、私がついていたのに」
まもりが頭を下げてきたのを肩を掴んで起こさせる。
「やめてくれよ。こっちが巻き込んだ方じゃないか。あたしが高を括ってたのが原因さ。まさかヤツら本気だったとはね…」
シーサーペントに誘拐の脅迫を受けていた自分が、もう少し警戒を強めておくべきだった。
脅しだと決め付けて、他国の皇女を巻き込んだとあっては、今後の外交問題に発展しかねない。
なにより、海賊船でどのような扱いを受けるか。
シーサーペントの残虐な噂を思い出し唇を噛む。
黙ってヤツラの思い通りにされるわけにはいかない。
メグはドレスの裾から左手を入れて、腰の横を探った。
「身体検査はされていないみたいだね」
メグは服の下から手を取り出し、護身用に身につけていたナイフをまもりに見せる。
「ないよりマシだろ。ついて来な」
「ま、待ってメグ」
まもりの制止は聞かず、メグは扉を開けた。
外に見張りはいない。
狭い通路の先には短い階段が上に向かって続いている。
他に部屋もなさそうだ。
メグとまもりはドレスを引きずりながら通路を進み、階段を上る。
階段の突き当たりに取り付けられた扉を頭の上に押し開いた。
潮の香りが強くなり、風が顔に吹き付ける。
ジャマなドレスを片腕で纏めて持ちながら、ひとりずつ順番に外に出た。
メグはドレスを床に広げ、まもりと並んで辺りを見回した。
暗い夜空と真っ黒な海に囲まれている。
船の甲板は思った以上に広く、巨大なマストの下に二人は立っていた。
「探検は終わったか?お姫様」
暗闇から急に声が聞えた。
船の先端に目をやると同時に、甲板の上に備えられていた明かりに火が灯される。
甲板の側面に沿って置かれている明かりの前に黒装束の男たちが並び、メグたちを取り囲んでいた。
メグは左手でまもりの右手を掴んだ。まもりも握り返してくる。
「ようこそ、シーサーペントへ」
船の舳先に置かれた木箱に、髪を一つに結んだ男が大股を開いて腰掛けている。
目元を覆っていた色眼鏡をずらし、メグ達に笑いかけた。
メグとまもりは客を一周して挨拶を終えた。
メグの父がヒルマたち海軍を紹介しだしたので、客たちの標的はそちらに移っている。
隙を見てダンスの申込みをしようとする男たちを素気無く断って、二人で奥まった場所にしつらえられた大きなソファに腰掛けた。
さり気なく寄ってきた給仕が差し出す飲物を受け取り、一口飲む。
メグは背もたれに体を預けたが、まもりはヒルマたちのほうを見ながら背筋を伸ばしていた。
やはりヒルマが気になるのだろうか、とまもりの横顔を見ながらメグは思った。
昼間は否定していたが、ただの皇女と海軍提督とは思えない雰囲気がある。
他人の色恋に興味はないが、これから誘拐を警戒するために行動を制限すると宣言されている身としては、それくらいしか面白がることがなさそうだ。
メグは一気にワインを飲み干して、サイドテーブルにグラスを置いた。
その瞬間、部屋の明かりが落ちた。
この部屋だけではない。見回すと屋敷のどこからも光が見えなくなっている。
女性客たちが悲鳴を上げ始めた。
メグたちはこの程度で騒ぎ立てる性分ではないが、まもりがメグを守るために椅子の上で腰をずらして体を寄せてくる。
「どうしたのかしら?」
「だれかがドジを踏んで屋敷中を真っ暗にしちまったか、そうじゃなければ…」
「うわぁああああっ」
メグの言葉は窓際の男性客が上げた悲鳴にかき消された。
誰もがそちらに視線を集中させる。
大きなガラスの向こうから、首の長い、体長15メートルはあろうかという怪物が目を光らせてこちらを見ていた。
横に伸びる体に比べると小さな頭だが、その中で目の占める範囲はやたらと大きい。
メグの脳裏に幼い頃絵本で見たシーサーペントの怪物の姿が浮かんだ。
ガタンガタンと人が倒れる音にガラスの割れる音、悲鳴が重なる。
怪物の姿に動けずにいたメグとまもりは、騒ぎが大きくなったのを見て椅子から立ち上がろうとした。
突然、背後から椅子に戻らせるよう肩を押さえつけられ、顔を布で覆われる。
鼻にツンとくる臭いが目の奥を痺れさせた。
マズイ、と思ったのは一瞬で、メグの意識はそこで途切れた。
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雪が降りました-!
タイヤを替えていてよかった。
拍手をありがとうございます!
