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白刃の滝から浮かび上がる
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あ゛ー、ついてねぇ。

いい女を見つけたと思ったら、金がなった。
カモを見つけたと思ったら、金を持っていなかった。
パシらせて場所と金を確保している間に、女に逃げられた。
次の女を連れてこさせる間に酒でも飲もうと座ったとたん、ケーサツ連れてきやがった。
何もする間もなく、退散。
馬鹿馬鹿しい。
ナンパと脅しの時間を無駄にしただけだった。

辛気臭い寮に帰るしかないかと、電車とバスを乗り継いで階段の前までたどり着けば、突然の土砂降り。
仕方なく階段を駆け上がり寮に飛び込むと、案の定、湿気で増大された男臭に溢れかえっている。

あ゛ーついてねぇ。

声をかけてくる人間を無視して、自室の扉を開ける。
すぐに目に入ったのは、濡れた体を拭いている兄の坊主頭。
兄が振り向くより早く、背中から抱きつく。
「あ゛ー臭ぇ」
「阿含、なんだ急に入ってきて」
「俺の部屋だからいーじゃん。それにしても汗臭ぇなぁ」
「部活が終わった直後に降られたからしょうがないだろう。シャワーはこれからなんだ」
「帰ってくる前に拭いとけよ」
「すぐに風呂だから面倒くさい。お前だって、濡れてるじゃないか。冷たいぞ」
雲水の手が阿含の髪に触れる。
「あ゛ー、俺も風呂はいるから」
「そうか。なら準備しろ。すぐに向かうぞ」
「へーへー」
「あ、ご、ん。放せ」
「へーへー」
「あーごーん。風呂、行くんだろう」
「へーへー」

10分くらい張り付いたままでいたら、雲水が鉄拳落としやがった。

やっぱり今日はついてねぇ。

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